第24章 悪魔は甘いキスがきらい【おそ松、トド松】
発端は、五日前。それはバイト先のスタバァで起こった。その日、ゴミ捨て担当だった私は、店の裏口にあるゴミ箱からゴミ袋を取り出した。
ただ、それだけ。
その時たまたま、ゴミ袋の中には悪魔を召喚する本(何それ)が入っていて、その時たまたま、私は願い事を口にしていた。
「ま、いーじゃん。どっちにしろ、願い事叶ったら、愛菜の魂をもらうんだぜ? 今、破棄したら心臓奪われておしまいっ。だったら、願い事を叶えておいたほうがお得だろ? どうせ死ぬんだからさ」
「…………」
やっぱり悪徳商法だ……。
デビおそは、ベッドに腰掛けると、私を覗き込んだ。
「で、どうだったの?」
「どうって?」
「だーかーら! 願い事だよ! 一応、かるーく魔力使っておいたけど、どう? 効果が出た?」
「…………」
私は今日のバイトを思い出した。いつも通りに仕事をこなし、いつも通りに買い物して帰宅。でも、そういえば……。
「な? 思い当たることあっただろ?」
デビおそがニヤニヤする。
「う〜ん。あったと言えばあったけど……。ひとこと褒められただけだから、魔力のおかげかどうかは……」
「なんて褒められたの?」
「『愛菜ちゃんって、コーヒー入れるの早いね』って言われた」
「あー……そりゃ魔力関係ねぇな。たまたまだわ」
「…………」
私たちは黙り込んだ。