第5章 それでも君が好き【チョロ松】
ちゃんと聞いてるのかよ。急いでいるのは分かるんだけど、ルールを守らない愛菜が悪いんだからね?
「とにかく部屋のゴミ箱には……」
「うん、分かった! チョロちゃん、この後、時間あるんでしょ? 悪いけど片付けておいて!」
「もう片付けたよ! 大体、僕だってこれからハロワに行くし、時間なんてないから」
「じゃ、行ってきまーす!」
愛菜がリビングから飛び出していく。
「あ、ちょっと! パジャマをちゃんとカゴに……」
バタンとドアが閉まる。あっという間に嵐は去って、部屋に再び静寂が戻った。
見ると、脱ぎっぱなしのパジャマ。テーブルの上には使ったままのメイク道具一式。
「はぁ……」
僕は溜息をつくと、脱ぎ捨てられたパジャマを拾い、メイク道具を片付ける。
全く、女の子のくせになんでこんなにだらしないんだよ……。そりゃ、僕が愛菜のマンションに転がり込んだわけだし、おまけに働いてないんだから、とやかく言える立場じゃないけどさ。
僕は一通り片付け、洗濯機を回し、洗い物を済ませる。回し終えた洗濯物をベランダに干すと、着替えて外へ出た。