第5章 それでも君が好き【チョロ松】
大体、僕たちは何もかもが正反対だ。性格も、好きな音楽も、テレビも、生き方も。
でも、恋に理由なんてない。惹かれちゃったもんは仕方がない。
愛菜が笑うたび思うんだ。その可愛い笑顔をずっと僕だけに見せて欲しいって。将来、誰か他の男が愛菜の笑顔を独り占めするなんて考えたら、僕は居ても立ってもいられない。
だから、僕は愛菜と一緒にいる。誰にも渡さない、渡したくない。
でも、悲しいかな、現実は恋だけじゃ暮らしてはいけない。僕たちは生活していかなきゃいけないからね。
ゴミ箱を覗いて、僕は舌打ちした。またかよ……。案の定、食べた後のお菓子の袋。
「あー! 遅刻するーーっ!」
ドタバタと大騒ぎで着替えながら部屋から出てくる愛菜。
「ちょっと!」
僕は怒りを抑えて声をかけた。
「何? チョロちゃん」
「ねぇ、何回か言ったよね? 部屋のゴミ箱に匂いのするお菓子の袋やゴミを捨てないでって」
「えー? そっかあ。ごめんね!」
「これで何回目だと思っているの?」
愛菜は全く気にせず、リビングのテーブルの上にメイク道具を広げ、手早く化粧を済ませる。