第23章 桜とぼくらの一週間【チョロ松/学生松】
「だからもう、それは持って帰って」
僕はDVDを手に取る。
「分かった……でも、あんなに怒ってたのに僕が持ってて本当にいいの?」
何と言っても、これが火種だしな……。
愛菜は困ったように目を泳がせた。
「だって、私のじゃないし……。もし、持って帰ったら見るの……?」
「見ないよ。さっきも言っただろ? 未成年は見ちゃだめなの!」
「でも、チョロ松くんは、そういう女の子が好きなんでしょ?」
そういう女の子?
DVDを改めて見る。茶髪で化粧の濃い女優が制服をめくって胸を見せていた。おっぱいはデカイ。スカートから太腿も出ている。
「う〜ん……」
僕は唸った。
まあ、男だから、嫌いじゃないけど……。
「ほら! やっぱり! その女の子がいいんだ!」
愛菜が頬を膨らませて、再び睨んでくる。
ヤバイよ、また喧嘩になりそう。僕はDVDを机に戻した。
「女の子って言うけど、この女優はかなり年上だろ? 制服は着てるけど明らかに高校生じゃないし。僕はおばさんには興味ないから」
おばさんはいい過ぎだけど、愛菜の手前、少し大袈裟に言っている。ごめんなさい、エロいおねーさん。
「でも、その人とえっちなことしたいんでしょ?」
愛菜が不審そうに口を尖らせる。
あーもう、何だよ、これ。喧嘩になるぐらいなら、別に捨ててくれて構わないんだけど……。
内心そう思いながら、僕は首を振った。
「嫌いとまでは言わないけどさ。でも、こんな女優より愛菜のほうがいい」
「えっ……」
愛菜が目を見開いた。