第23章 桜とぼくらの一週間【チョロ松/学生松】
さすがに考えすぎか……。さっきまで1階に親もいたし、愛菜は男を連れ込むような器用な真似はできないよな。熱もあったんだし。
「何でもない……」
鞄を下ろし、愛菜の机にお盆を置こうと振り向く。
瞬間、机の上に放り出されたDVDが目に入った。
「あ」
愛菜が反射的に声を出す。
『おっぱいモミモミぬるっと挿入』
そこにあったのは、水曜日に僕から取り上げたDVDだった。
「愛菜、もしかして、これを見てたの?」
振り返ると、愛菜は勢いよく首を振った。
「見てないよ! 見るわけないでしょ!?」
「本当に……?」
怪しい。さっきの声もそれっぽいし……。
「本当に見てないってば! 見てたのはチョロ松くんでしょ!?」
愛菜が顔を真っ赤にして叫ぶ。
「は? 僕は見てないよ! これはおそ松兄さんがイタズラで僕の鞄に入れたの! だいたい、未成年はこんなの見ちゃいけないだろ!」
「そんなの私に言わないでよ! 私だって見てないもん!」
愛菜が今にも泣きそうな顔で僕を睨みつけた。
あれ? おかしいな。僕は謝りにきたんだよね? なんで愛菜と言い合いになってるんだ? だめだよ、これじゃ仲直りどころか余計こじれそうだ。
「ま、まあ、見てないならいいけど……」
いまさらだけど、語気を弱める。
「…………」
愛菜は俯いた。
「でも、このDVDは捨てるって言ってただろ? なんで愛菜の部屋にあるんだよ?」
愛菜はしょんぼりとした様子で口を開いた。
「ごめんね、チョロ松くん。捨てるって言ったけど、さすがに人の物を勝手に捨てるのはよくないなと思って……結局捨てなかったの……返すね……」
「あ、そ、そうなの?」
愛菜はこくんと頷いた。