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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第23章 桜とぼくらの一週間【チョロ松/学生松】


マイペースで、いつも笑顔で、明るい女の子。話す前からそんなイメージだったが、仲良くなってからも彼女の印象は全く変わらない。たぶん、裏表がないんだろう。


「チョロ松くーん、ごめんごめん! 終わったよー! 待っててくれてありがとう!」
愛菜が鞄を持って走ってくる。桜に負けないぐらいの満開の笑顔だ。


「僕は待つなんて、ひとことも言ってないんだけど」
ため息をつきながら立ち上がる。


「でも、待っててくれたでしょ?」


鞄を持つ手を後ろに回し、首を傾げて僕を見る愛菜。制服のスカートが春風に揺れる。僕はドキッとして、目を逸らした。あざとい。トド松と違うのは、そのあざとさが計算されたものではないということだ。


「待っていたわけじゃないよ。区切りのいいところまで本を読んでいたら、愛菜が来ただけだから。中途半端なところで読むのをやめると、次読むときにうまく内容を思い出せないだろ? 結局、また初めから読み直すことになるんだよ」


「へぇ〜そっかぁ。桜が満開だねぇ」
愛菜は、僕の後ろの桜の木を眺める。人の話、全然聞いてないだろ。


「うん、今が一番見ごろだね」
仕方なく話題を切り替える。


「土日にお花見したいのに、もつかなあ?」 


「無理でしょ。明日から天気も悪くなるみたいだし、この数日中には散るんじゃないかな」


冷たく返したから、愛菜は少しムッとしたようだった。口を尖らせて、僕を見る。
「それは困るよ! 私は今週いっぱいは咲いている、と信じてる!」


「信じても散るものは散るから。今週末にはもう花は終わってると思うよ」


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