第22章 大統領には押させない!【トド松】
「ちょっ! 何するダス!?」
「お許しください、大統領! 国のため、しいては世界の平和のためですっ!」
私は大統領の腕を後ろに回し、ぐるぐる巻きにロープで固定した。
「ええ! たとえ、我々が処分されようとも! 人類存続のため、ボタンを押させるわけにはいきませんっ!」
トド松補佐官も大統領の足を縛る。
「乱暴はやめるダス! ワスが何したって言うダス!? 全く思い当たることがないダス!」
バタバタと暴れる大統領。
「むしろ思い当たることしかないでしょ!?」
私はデカパン大統領の口をガムテープで塞いだ。
「ん〜! ん〜! ん〜!」
デカパン大統領は苦しそうにもがく。
「奥田さん、早く動画サイトを!」
トド松補佐官が叫ぶ。
私は落ちていたスマホを拾い、すぐにシェーチューブのアプリから動画を削除した。
「はあ、よかった……なんとか消えた……。でも、アカウント名が『ホエホエ@公務中』って、思い切り大統領だってバレバレですね……」
私はどっと疲れが出てくるのを感じながら、息をつく。
「ったく、もう。ほんっと誰だよ、こいつを大統領にしたのは……」
トド松補佐官も今日何度めかのセリフを吐きながら、ぐったりと座り込んだ。
「トド松さん、この後はどうします?」
「もう疲れたよ。大統領を居住スペースのブラックハウスに送って、ボクたちも帰りましょう」
「了解。執務室の入り口と引き出しはしっかりと鍵をかけておかないといけませんね……」
私たちはフラフラと立ち上がると、デカパン大統領を縛ったまま、ブラックハウスに送り届けた。
「やっぱりボタンが心配ですね……。あの大統領なら夜中に忍び込もうとするかも。私、もう1回鍵を確認しに戻ります」
デカパン大統領をベッドに下ろして、私はすぐに出口に向かう。ああもう、今日一日でなんでこんなにも疲れるんだろう。