第22章 大統領には押させない!【トド松】
「う〜ん、先っちょだけならいいんじゃないですか?」
「分かりました。先っちょだけですよ?」
デカパン大統領がゲヘヘと笑う。
「早く! 早く舐めさせてくれダス! もう我慢できないダス!」
「キモッ。この大統領、引くわ〜」
トド松補佐官がコソッと呟く。
「執務室でいやらしいことしてるほうが引くダス!」
「っ! あーもう! 分かりました! 分かりましたから、その話はしないで下さい!」
トド松補佐官は、大統領をロープで縛ると、引き出しを開けた。舌を伸ばすとギリギリ届く位置まで下がる。
「はい、どうぞ。思う存分、舐めて下さいっ」
デカパン大統領がボタンを舐め始める。
「ん〜! レロレロレロレロレロ〜〜! たまらんっ! たまらんダス!」
「こんなところ、マスコミに見られたら大変なことになりますよ、全く……」
私は溜息をついた。
でも、仕方ない。私のイメージダウンを避けるためだ。
その時、「あっ!」というトド松補佐官の声と共にブチッと縄の切れる音がした。
「ボタン押すダスーー!」
自由になったデカパン大統領がすかさずボタンに飛びつく。
「やばいっ! 奥田さん!」
「任せてっ!」
私はデカパン大統領に思い切りボディーブローを食らわせた。大統領が吹っ飛び、仰向けに倒れる。
「ふうっ! 危ないところだった!」
私は引き出しを閉め、汗を拭く。補佐官たるもの頭脳だけでは勤まらない。イザという時のために格闘技だってマスターしちゃっているのだ。
「奥田さんっ! さすがです! ……あれ?」
拍手をしながらトド松補佐官が大統領を覗き込んだ。
「どうしました?」
「大統領、気絶してる……」
私たちは顔を見合わせた。