第19章 アクアリウムに浮かぶ恋【おそ松、カラ松】
「は……?」
しばらく沈黙が続く。
咄嗟のことで頭が回らない。愛菜が泣きそうな顔で俺を見上げた。
何か返さないと怪しまれる。でも、何て言うんだよ。いないよ、なんて逆に怪しくねぇか? いや、それ以外で返す方が怪しいか? あ〜、分っかんねぇ!
「おそ松?」
カラ松の声。
「あ……ああ! わりぃ。言ってる意味が分かんなくて。愛菜がこの中にいるってことか? いくら俺でもクソしてるところを女の子に見せる趣味はねぇわ〜」
どうだ? だめか? 不自然か?
俺はごくりとつばを飲み込む。妙に大きく音が響いた気がして、心配になる。
「そうか……そうだよな。すまないな。変なことを聞いて」
カラ松の返事に俺は胸を撫で下ろした。ひとまずはセーフのようだ。
「おう。愛菜のことだから、そこらへんをウロウロしてんじゃねぇの?」
努めて明るく言う。
「だろうな。とりあえず、オレはショップを覗いてくる」
カラ松の足音がトイレを出ていく。
俺たちはそのままの姿勢でしばらく呆然としていた。
「おそ松くん……?」
愛菜が困ったように俺の名を呼ぶ。
俺は我に返った。そういえば、脱童貞のセックスの途中だったんだ。また律動を再開する。
「ちょ、ちょっと! 何でまた動くの!? さすがにもうやめるでしょ!?」
愛菜が俺から離れようともがく。
「やめるわけないだろ……。あと、もうちょっとでイケるのに……寸止めとかマジ勘弁……」
愛菜の腰を掴み、さらに動きを速める。