第19章 アクアリウムに浮かぶ恋【おそ松、カラ松】
タイミング悪いな。誰だか知らないけど、さっさと用を足して出ていってくれ、頼む……。
息を殺しながら愛菜を見ると、不安そうな顔で俺を見つめ返してくる。
足音は、小便器の方へ行くかと思いきや、こっちへ向かってきた。
ちっ、まずいな。個室を使う気か?
俺たちの前で足音が止まる。
「おそ松か……?」
カラ松の声。瞬間、愛菜の表情が凍りついた。
くそっ、寄りによって、カラ松かよ……。
「ああ……俺だけど。さっき、昼飯食べ過ぎたみたいで、腹痛くてさぁ。悪いけど、先に行っててくんない?」
できるだけいつも通りのテンションで返す。
「ああ、そうか……。その、愛菜なんだが……」
カラ松が言葉に詰まる。
「ん? 愛菜が? どした?」
「いや……。どこに行ったのか見つからなくてな……」
そりゃ、そうだろうな。今、俺にチンコ挿れられてるよ。
「へぇ〜、ほ、他の部屋の魚でも見てるんじゃねぇの?」
声が裏返らないように気をつけながら答える。
「そう思ったんだが、どの部屋にもいないんだ……」
「土産のショップは?」
「ああ、そっちはまだ見ていないな。見に行ってくる」
俺はホッとした。これで少しは時間を稼げる。
カラ松が歩き出す音。しかし、足音はすぐに止まった。
「なぁ、おそ松……」
カラ松が戻ってきて、また話しかけてくる。
「ん〜? 何?」
わざと能天気に返す。
カラ松はゆっくりと言い放った。
「まさかとは思うが、そこに愛菜はいないよな……?」