第19章 アクアリウムに浮かぶ恋【おそ松、カラ松】
「カラ松くんは兄弟の悪口なんて言わない! おそ松くんが一番よく分かってるでしょ!?」
ジンジンと熱を持った頬の痛み。
ああ、くそっ。こんなこと言うつもりはなかったのに。
俺は口を開いた。
「愛菜……俺……お前のことが……」
「今さら聞きたくない!」
愛菜の瞳から涙がこぼれ落ちる。キッと俺を睨むその顔は、どこまでも透明でゾクリとする美しさがあった。
「今さらって何でだよ……」
愛菜が俺を見上げる。
「私はね、ずっとおそ松くんが好きだったの! 今までも何回も伝えてきたでしょ!? でも、いつも適当に返事して、まともに取り合ってもくれなかった! 口を開けば、トト子ちゃんの話と下らないエロ話ばっかり!」
は……?
俺は呆然とする。
愛菜が俺を好きだった? 今まで何回も伝えてきた? そうだっけ? 確かに適当に返していた気はするけど……。
「話早いじゃん。なら、俺と……」
「でも、もう好きじゃない」
愛菜は、きっぱりと言い放った。
「え……」
「おそ松くんは、いつもフラフラしていて、話も真面目に聞いてくれなくて。片想いしている間、ずっと辛かった。そんな私の話をカラ松くんは心配して聞いてくれたの」
「…………」
愛菜は、俺を真っ直ぐ見つめながら続ける。
「カラ松くんが告白してくれた時、もうおそ松くんのことは忘れるって決めた。これからは、カラ松くんを好きになって、大切にしていきたいから」
俺は言葉を失った。
何だよ、それ……。何だよ……。