第19章 アクアリウムに浮かぶ恋【おそ松、カラ松】
「何なの……? 本当に怖いんだけど……」
愛菜が怯えた声を出す。
俺は愛菜の肩を掴むと、個室の間仕切壁に押し付けた。
まだ新しくきれいなトイレは、天井も壁も青い硝子で埋められ、照明の仄かな光が揺れている。まるで水槽の中を思わせるような洒落た造りだ。さすができたばかりの水族館、こんなところまで凝っている。
「何でって、お前らが俺たちに黙って勝手に付き合うからだろ……」
愛菜の顔が恐怖で歪む。
「別に黙っていたつもりは……」
「まあ、一番悪いのは、酔って愛菜に告白したカラ松だけどな……」
途端に愛菜の表情が険しくなった。
「違うよ! カラ松くんは何も悪くない! 何で付き合うのにおそ松くんに許可を取らないといけないの!? おそ松くんには関係ないでしょ!? カラ松くんはいつも優しかったし、告白してくれたのだって、私のことを心配して……」
「うるせぇな!!」
俺が怒鳴ると、愛菜は口をつぐんだ。
何だよ、カラ松を庇うのかよ。カラ松は優しい? んなの言われなくても知ってるよ。でも、抜け駆けしたのはあいつだろ? 俺たち六つ子は6人でひとつ。一人で先に行くなんて許されるかよ。
「あのね、おそ松くん。カラ松くんは……」
愛菜がまた口を開く。
「だから、うるせぇって言ってんだろ!」
俺は愛菜のスカートを力任せに下へ引っ張った。ホックが外れ、スカートはストンと足元に落ちる。
「きゃっ……!?」
慌てて隠そうとする愛菜の手を払いのけ、更にショーツを無理矢理下ろす。