第19章 アクアリウムに浮かぶ恋【おそ松、カラ松】
暗い部屋の中で照明を当てられた水槽が浮かび上がる。今までいた展示室とは違い、この部屋には誰もいなかった。
まあ、あっちはペンギンとかイルカとか花形の生き物がいるけど、こっちはクラゲしかいないもんな。
俺はのんびりと水槽を眺める。色とりどりに光る水の中でクラゲたちはゆっくりと漂っていた。気持ち良さそうに腕を伸ばし、傘の形を変えていくその姿は幻想的で、案外見るのに飽きない。
「おそ松くん、どうしたの?」
ぼうっとクラゲを見ていると、愛菜が一人でやって来た。
「ん? こいつら、何考えてんだろうなと思ってさ。それより、カラ松は?」
愛菜は、目の前の水槽を覗き込む。
「カラ松くんは、まだ隣の部屋で色々見てるよ。そのうち、ここに来ると思う。へー、いろんな形のクラゲがいるんだね。きれい……」
俺も頷いて、またクラゲに視線を戻した。
本当にこいつら何を考えてんだろうなあ。ただ、のんびり漂って、楽しいのか?
「あ、このクラゲ、すっげぇきれいな赤色」
俺が水槽を指差すと、愛菜は「ホントだね〜」と楽しそうに覗き込む。彼女の柔らかい胸が、一瞬、俺の腕を掠めた。
やっぱりカラ松は愛菜をもう抱いたのか?
目の前でクラゲに夢中になっている彼女は、子供の頃と何ら性格は変わらない。でも、その体は成熟して、胸も尻も熟れた果実のように膨らみ、俺の目には眩しく映った。