第19章 アクアリウムに浮かぶ恋【おそ松、カラ松】
「だから! 愛菜とカラ松が付き合うことになった経緯だよ。知らない間にいつの間にかしれっと付き合ってさ、俺たちに何の報告もなかったし」
愛菜は少し考え込んだ後、口を開いた。
「4月にみんなでお花見したでしょ? うちの家族と松野家のみんなで。その時にカラ松くんに告白されて……ほら、カラ松くん相当酔ってたし」
何だそれ。酔って告白してきたヤツと付き合うのかよ。俺たち、みんな揃って仲良かったのに、何でよりによってカラ松?
俺は苛々しながら煙草に火をつける。
「もし、俺たち兄弟でカラ松以外のヤツが先に告ってたら、どうしてたんだよ? 付き合ってた?」
愛菜は、へらっと笑った。子供の時から変わらない。何かを誤魔化したい時に見せる表情だ。
「どうかなぁ。その時になってみないと分からないな」
こいつ、肝心なところは言うつもりないんだな。
俺は溜息をつくと、愛菜を見た。
「花見ってさぁ、3ヶ月前だろ? 結構経ってるじゃん。お前ら、もうヤッたの?」
「え?」
愛菜が目を丸くする。
「だから! セッ」「愛菜、待たせたな。すぐに出られるか?」
俺の言葉を遮るように、襖が開いて、カラ松が入ってきた。くそっ、カラ松、タイミングよすぎだろ。
「うん、ちょっと待ってね」
愛菜がいそいそと荷物を鞄にしまう。俺は煙をくゆらせながら、窓際に移動して、外を眺めた。