第19章 アクアリウムに浮かぶ恋【おそ松、カラ松】
あーもう、うるせぇ。
俺は自宅の二階で寝転びながら、漫画の頁をめくる手を止めた。
顔を上げると目に入るのは、人目も憚らず、イチャついているバカふたり。
俺はわざと大きな音を立てて、床に漫画を置くと起き上がった。
「ん? どうしたんだ、おそ松?」
カラ松が気付いて顔を上げる。カラ松の膝の上に乗っていた幼馴染の愛菜も釣られたように俺を見た。
「お前らさ、平日の昼間っから、イチャイチャして何やってんだよ。愛菜、仕事は?」
ぶっきらぼうに返すと、愛菜は屈託のない笑顔を向けてくる。
「今日は休みなの。平日休みだから」
ああ、そう。知ってたけど。……って、普通に返してくんなよ。嫌味で言ってんのに。
俺はちらりと彼女の下半身に目をやる。しっかりと膝の上に座っちゃって、それ、カラ松のに尻が当たってんだろ。童貞のお兄ちゃんに堂々と見せつけるって、お前ら、どういうつもりなんだよ。
どんよりとした気分で二人を眺めていると、カラ松が愛菜を膝から下ろし、立ち上がった。
「愛菜、すまん。ちょっとトイレに行ってくるから、待っててくれ。戻ってきたら出掛けるか」
「うん、分かった」
カラ松が部屋から出ていく。襖が閉まると、俺はすぐに愛菜の正面に座り直した。
「なぁなぁ、愛菜」
「うん?」
愛菜が俺を見る。
「お前ら、いつの間にこんなことになったの?」
「こんなことって?」
俺は少し前に出て、愛菜に近づいた。