第4章 夢松事変【カラ松】
「どこへ行くんだ? ブラザー」
「どこって服を着替えに……」
「ここで着替えればいいだろう?」
「はっ!?」
びっくりしてカラ松を見る。いや、それはさすがにまずいよ。上はともかく、下は……。
「兄弟なんだから別に構わないだろう? それとも違うのか? おまえ、本当に一松か? 怪しいな……」
やばい! 疑われている! 今さら『愛菜でした』なんて言えないよ!
私は慌てて首を振った。
「いや! 俺、一松だから! いつもこの世は地獄だから!」
「じゃあ、さっさと服を返してくれ、一松」
「う……分かった……」
私は観念して、キャミソールの上に着ていた革ジャンを脱いでカラ松に渡した。
「はい、どうぞ……」
カラ松は革ジャンを受けとると、私をじっと見た。
「何……?」
「ふん、一松よ。お前ちょっと胸が出ていないか? 一体、どうしたんだ?」
「っ!?」
私は慌てて胸元を手で隠した。
「怪しいな。ちゃんと見せてくれ」
「でっ、でも」
カラ松は私の腕を掴み、無理矢理、胸元を開かせた。
「よく見ないと分からないな」
カラ松が顔を胸に近づける。