第18章 バスルームのひみつごと【十四松】
嘘くさいなぁ……。こういう根拠のない非科学的な商品説明って書いてもいいんだろうか?
私は呆れながら、袋をバスタブの縁に置き、熱い泡に顎まで浸かった。じんわりと身体が温まって心地いい。
願い事かぁ……。願い事ねぇ……。
私はぼうっと考えた。一つならすぐに思い浮かぶ。
「十四松くんにもっと会いたいな……」
思わず口に出してから、ハッと我に返った。
私ってば、何を言ってるんだろう。胡散臭い売り文句を真に受けちゃって。願いごとが叶うはずないでしょ。誰も聞いてないとはいえ、恥ずかしい〜。
私は泡の中で息を吐き、ごまかすように防水ローターを手に取った。
叶わない片想いより、今とりあえず叶う欲。
湯船に浸かったまま、スイッチを入れてクリトリスにあてる。水中にあるため音は聞こえないが、ローターは確実に振動しながら、私の花芯を刺激した。
「んっ……」
強い振動が直接伝わり、思わず声が漏れる。空いている手で、自分の胸の膨らみを強く揉む。
十四松くん、今頃何してるのかな……。最近会ってないなぁ。すでにカノジョできてたらどうしよう……。
手の動きに合わせて、ゆらゆらと泡が揺れる。身体はすっかり温まり、私は薔薇の香りに包まれながら、夢見心地で自慰に没頭した。
幼馴染の十四松くんは、近所に住んでいる六つ子の五男だ。小さい頃から家族ぐるみのお付き合いをしていたけど、気付けば自分は進学し、就職して、六人と遊ぶこともなくなった。たまに道で顔を合わす程度。
でも、子供の時からずっと、明るく元気な十四松くんに密かに想いを寄せている。片想いして何年になるんだろう。告白する勇気もない。