第18章 バスルームのひみつごと【十四松】
《愛菜side》
バスタブにお気に入りの入浴剤を入れると、私は勢いよくシャワーでお湯を注いだ。
甘い薔薇の香りと共に、あっという間にモコモコと泡が広がる。
「あー、やっぱり疲れた時は、赤塚印の入浴剤だよね〜」
ふわふわの泡にテンションが上がり、顔がニヤけてしまう。
私は一旦バスルームを出ると、ご機嫌で着替えやタオルを用意した。
金曜日の夜、仕事が終わって家に帰った後の楽しみと言えばこれ。モコモコの泡に包まれ、のんびりと過ごすバスタイム。一週間の疲れを一気に落とせる大切な時間だ。
私はフンフンと鼻歌を歌いながら、バスルームに戻ろうとした。
あ、そうだ。
ふと、あることを思い出して立ち止まる。
今日は時間もあるし、せっかくだから、アレもしちゃおうかな?
私は引き返すと、引き出しから防水用のアレを取り出した。そう、大人の的な、おもちゃ的な、ローター的なアレである。……答え、言っちゃったけど。
早速、脱衣所で服を脱ぎ、浴室に入る。まずはシャワーを浴びて身体を洗うと、お待ちかねのふわふわバブルバスに飛び込む。
「あ〜気持ちいい〜」
素敵な香りと柔らかい泡に包まれて、私はニヘ〜ッと頬を緩めた。
残業があっても、休日出勤しろと言われても、上司との飲み会に駆り出されても、なんかもう全部どうでもいいや。
バスタブにもたれながら、ふと、入浴剤の空袋を手に取って眺める。
「ふーん、これって新発売の香りなのかぁ。……ん? 『この入浴剤は、デカパン研究所との共同開発製品です。泡の中で願い事をすると叶います』??」