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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第17章 片道タクシー【カラ松】


***


「あれ? 愛菜? 久しぶりだな」


声をかけられ振り返ると、懐かしい顔が目に入った。休日のショッピング・モール。ショップの店先で久しぶりに服を眺めていたところだった。


まさかこんなところで再び会うなんて……。私は内心驚きながらも、顔には出さずに元婚約者に会釈した。


「うん、久しぶり」


元婚約者は微笑む。
「聞いたよ。結婚したんだって? おめでとう」


「うん……」 


彼は少し顔を歪め、黙り込んだ。私も特に返す言葉が見つからない。


「あのさ……」


「うん?」


元婚約者は、少し迷った表情を浮かべ、しばらく思案していたが、思い切ったように口を開いた。


「悪かったな。あのときは……」


「あのとき?」


「分かってたんだろ? 俺の浮気」


「えっ……?」


彼は申し訳なさそうに視線を落とす。


「愛菜との結婚が決まって、正直、もっと遊びたくなったというか、落ち着くのが嫌になったというか……だから、浮気に走っちゃってさ。バレてないと思ってたけど、愛菜はちゃんと分かってたんだな。急に連絡が取れなくなって気付いたよ」


浮気……?


知らなかった……。彼が浮気していたなんて今初めて聞いた。連絡を取れなくなったのは、タクシーの男に捕まったからで……。


元婚約者は話し続ける。
「ちょうど愛菜と連絡取れなくなった頃かな。俺、交通事故に遭ってさ〜。怪我は大したことなかったんだけど、轢き逃げされて。でも、轢かれたのは、浮気した帰り道だったんだよ。飛び出したのも自分だったし。天罰だったのかもな」


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