第4章 夢松事変【カラ松】
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鏡を取り出して、自分の格好を色々な角度から見てみる。そう、禁断の果実に手を出してしまった私。全身カラ松ファッションに身を包んでいた。
うーん、やっぱりブカブカだ。というか、着心地悪っ! なんか、革ジャン動きにくいし! デニムパンツも丈は長いけど、かなり細身。何より骸骨付きのベルトがやたら重い。
カラ松てば、こんなの毎日着てるの? 信じらんない!
それにしてもイッタいなあ。でも、この角度なら悪くない、かも? あ、サングラスこうやってずらしたら、ちょっとイケてるかも?
鏡を色々と動かしてみる。
そうだ! この格好でイタいセリフ言ったら、カラ松ぽいかも! やってみよう!
私は鏡で自分を見ながらポーズをキメた。
「アイム愛菜アーハン! おーミラー! いつもビューティフルな姿をセンキュー!」
うん、決まった! なんかカラ松っぽい!
一通りカラ松ワールドを堪能した私は、満足して振り返った。
瞬間――――。
…………凍りついた。
目の前には、ソファから起き上がり恐ろしく冷めた目でこちらを見ているカラ松。
「あ……」
み、見られた! 勝手に服着て、変なセリフ言ってるのをよりによって本人に見られた! 終わったあぁぁぁ!!