第17章 片道タクシー【カラ松】
「やっ……! 離してっ!」
逃げられたと思ったのに……!
あれだけ走ったのも虚しく、あっという間にタクシーに連れ戻された。後部座席に乱暴に投げ込まれる。頭を打った私は思わず呻いた。
男も隣に乗り込んでくる。
「ハニー、びしょ濡れだな。このままでは風邪をひくぞ。さあ、早く服を脱ぐんだ」
「それより……彼のところへ……おねがい……」
瞬間、男の顔が凍った。
「彼? 何をいっているんだ、ハニー。今はもう君の彼氏はこのオレ、カラ松だろう? さあ、いい子だからすぐに脱ぐんだ」
男は私の胸元に手をかける。
「きゃあっ!?」
驚いて体を捻ると、男は目を丸くした。
「いや、濡れているから脱がそうとしただけだが……。そんなに恥ずかしがることはないだろう? オレたちは恋人なんだ」
「…………」
男は冷たい瞳で私を見下ろした。
「それとも……オレのいうことが聞けないのか……?」
「っ!」
恐怖が走る。次の瞬間、男は私をシートに押しつけ、服を剥ぎ取り始めた。
「やぁっ! やめて!」
「こらっ! 暴れるんじゃない、ハニー!」
頬を数回平手打ちされる。
痛みでぐったりと力を抜くと、男は濡れたニットを頭から脱がせた。キャミソールも乱暴に取り、下から現れたブラを眺める。
「水色か。可愛いブラジャーだな。ハニー、わざわざオレのために着てきたのか?」
この人、何をいってるの……?
痛みで熱を持った頬を押さえながら、私はぼんやりと男を見上げた。