• テキストサイズ

《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第17章 片道タクシー【カラ松】


「いやあああああっ! 痛いっ!」
悲鳴をあげると、男は笑いながら手を離す。


「ハニー、どんなに大声を出しても無駄だからな。このタクシーは特別仕様で中は防音だ……」
妖艶で低い声が耳を犯した。


「特別仕様……?」


「ああ、防音以外にも機能がある。見るか?」


運転手がナビに何かを入力する。途端に車体が揺れ、ボンネットが勢いよく開いた。天井から大きな音がし、何かがせり上がっていく気配。窓の外は眩い光に照らされ、キラキラと回りだす。


「な、何これ……何なんですか……?」
意味がわからず、周りを見回す。


「フッ、耳を澄ますんだ、ハニー。聞こえるだろう……? 


カ ラ 松 Go Go Go 


と……」


たしかに聞こえるけど……。一体、何? なんなの? この人、狂ってる……。


私は派手に回る光を見ながら考えを巡らせた。

逃げたい。今すぐに。でも、どうやって?

隙をついて走って逃げれば、なんとかなるかもしれない。とにかくどこかの家に助けを求めて、すぐに救急に連絡してもらおう。冷静にならなきゃ。あの人を助けないと。


「あの……この光ってライトか何かですか……?」

男は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに得意げに答えた。


「いや……


ミ ラ ー ボ ー ル


だ……」


「そうなんですか? ここからだと見えないですけど、大きいんですか?」


「フッ、ハニー、興味があるのか? なんなら外から見てもいいんだぞ? ドアを開けてやろう」


あんなに開かなかったドアがいとも簡単に開く。冷たい雨が車内に降り込み、私は反射的に顔をしかめた。


/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp