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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第17章 片道タクシー【カラ松】


「音……?」


音って何? なんの話? 


運転手は不気味に笑う。
「さっき、ちゃんと轢いておきましたよ? あなたの婚約者を。轢く瞬間の音をお客さんも聞いたでしょう? これでもう嘘ではなくなりましたよね?」


「っ!?」


じゃあ、さっきの『大きなゴミ』というのは……。


私は慌ててドアを開けようとした。


「無駄ですよ、お客さん。タクシーだから手動では開きまニッション」


「降ろして! 早く助けに行かないと……!」


必死に試みるが、ドアが開く気配はない。


運転手は手を伸ばし、私の腕を掴んだ。


「落ち着いてください、お客さん。当タクシーは片道タクシーとなっております」


「片道タクシー?」


「ええ。あくまで片道のみ。帰りはありません。一度乗車したら、二度と戻ることはできないのですよ」


「何言ってるの!? 降ろして! 早くしないと彼が……!」


そのとき。


「……そんなにあいつが大切か?」
急に運転手の口調が変わった。


怯んだ私はついドアから手を離す。


「彼のことを知ってるんですか!?」


「もちろん知ってるさ……。君のことをずっと見てきたんだ。毎日毎日……。このカラ松は、君のことならなんでも知ってる」


「カラ松?」


聞いたことのある名前……。


私はハッとした。


「もしかして、松野さんのところの……」


「ああ、そうだ。君の近所の松野だよ。どうしてそんな顔をするんだ、ハニー? デスティニーで結ばれた君とオレとの仲じゃないか?」


「は!? 話したこともないのに……!」
 

カラ松と名乗った男は、私の腕を捻り上げた。


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