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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第17章 片道タクシー【カラ松】


***


「すみません。もしかして迷ってません?」


声をかけると、運転手は笑った。


「そんなことはないですよ。もうすぐ着きまニッション」


あれから30分は経っている。周りを見ても暗いうえに窓も曇って、どこを走っているのかわからない。


「急いでいるっていいましたよね? 早く病院に行ってほしいんです! 必要なら案内しますから!」


運転手は不思議そうに首を傾げた。


「もちろん、急ぎますけど……。お客さん、こんな夜に病院にお急ぎって、失礼ですが、もしかして身内の方がご病気か何かですか?」


私はイライラしながら返す。
「ええ。事故に遭ったと病院から連絡が来たんです」


運転手は驚いたようにバックミラー越しに私を見た。
「もしかしてご兄弟の方とか?」


「いえ、婚約者です」


「婚約者!? それは大変だ。ご結婚が近いんですか?」


「はい。来月挙式予定で……」


運転手は首を振った。
「それはさぞやご心配でしょう。早く犯人が捕まるといいですね」


私はうなずいた。


本当に心配だ。轢き逃げだなんて、なんであの人がそんな目に……。


「ん……?」


なんだろう、この違和感。私は運転手をじっと見つめた。


「どうしました、お客さん? もう一度抜け道を使いまニッション?」


「どうして……分かったんですか?」


私の言葉に運転手はまた首を傾げる。
「何がですか?」


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