第16章 俺はキミを覗きたい【おそ松】
「あ……わたし……あの……おとこが……わたしが……けいさつを……わるくて……」
涙がどんどん溢れてくる。
「分かったから。もう大丈夫だから。落ち着けよ……」
松野さんが私の頭に優しく手を置いた。
「ひぃっ!」
身体が強張る。
「あ……わりぃ……怖いか……」
松野さんが私から離れ、周りを見回し、ベッドの上から毛布を取る。
「とりあえず、これで隠しな」
そっと私の下半身に毛布をかけ、またすぐ離れた。
「…………」
しばらくして私は上半身を起こした。
「あの……松野さん……」
腕を組んで座っていた松野さんが顔を上げる。
「ん? なに? 何か飲む?」
「いえ、その……」
松野さんは立ち上がって、私の目の前に来た。優しく微笑みながら顔を覗き込んでくる。
「ん? どうした? 何でも言ってみ?」
その顔を見た瞬間、また涙がこぼれてきた。
「あ! わりぃ! 何もしねぇからっ」
慌てて離れようとした松野さんの袖を掴む。
「ち、違う……の……わたしっ……松野さんに……松野さんなら……きっと……来てくれるって……松野さんに……来てほしかったっ……からっ……」
瞬間、松野さんの胸に優しく頭を引き寄せられた。ふわりと煙草の香りが鼻を掠める。
「愛菜ちゃん、ちゃんと分かってるじゃん……」
「え……?」
「俺、スケベだからさぁ。愛菜ちゃんのこと、何度でも覗きたくなっちゃうんだよな〜。でも、こうやってすぐ助けに来れるなら覗きも悪くねぇな〜とか思っちゃったりしてなっ」
鼻の下を擦って笑い、私の頭を撫でる。その優しい手の温もりに胸の中がほんわりと温かくなった。