第16章 俺はキミを覗きたい【おそ松】
何とか挽回を……いや、今さらカッコつけてもな。すでに裸を見に来てたのバレちゃってるし。ま、いっか。
開き直った俺は彼女の胸元を思いっ切り凝視した。どうせ今日で終わりなら、追い出される前に見るだけ見ておけ。
「あの、松野さん……?」
視線に気づいて、彼女は胸元を手で隠す。
「はぁ〜、なんか思い出したら切なくなってきたわ。もう、見れないのかぁ……」
「…………」
窓際で艶めかしく服を脱いでいく姿が蘇る。息を潜め、まるで思春期のガキのようにドキドキしながらこっそり着替えを見ていた日々。ああ、くそっ。まさか今日で見れなくなるなんて。馬鹿みたいだけど、大事な大事な楽しみだったんだ。
俺は深呼吸をした。
抗うのはやめよう。このまま、終わりなんてやっぱり嫌だ。
「なぁ、おねーさんってさ、カレシいるの?」
「いないですけど……」
「じゃあ、おっさんを追っ払ったし、ひとつお願い聞いてくんない?」
「はい、なんでしょう……?」
恐れるな。どうせ、だめで元々だ。綺麗事なんて言ってる場合じゃないだろ? こっちは今夜のおかずにありつけるかどうかの瀬戸際なんだ。
俺は彼女を真っ直ぐに見つめ、爽やかに笑った。
「おっぱい見せてよ」
「えっ……」
彼女の顔色が変わり、後退る。
「だから、『おっ・ぱ・い』見せてよ」
今までの人生で一番くらいのいい笑顔をしてみせる。清々しい気分だ。初対面の女の子に堂々とエロいことだって言えちゃう。そう、松野おそ松ならね!