第16章 俺はキミを覗きたい【おそ松】
「やっぱり警察に通報した方がいいんでしょうか?」
「あー、そりゃした方がいいんじゃね? あいつ、また明日も来るかもしんないよ? んじゃ、気をつけてね。お邪魔しました〜」
俺は部屋を出ようとした。
「あっ、ちょっと待って下さい!」
「へ? なに?」
足を止めて見ると、彼女の縋り付くような視線とぶつかる。
「えっと、あの……私、今からどうすれば……」
「警察に通報するんじゃねぇの?」
「そうなんですけど……でも、こんな遅い時間だし……」
は? 何言ってんの? 俺は彼女の顔を改めて見つめる。
「んじゃ、やめとけば?」
「今日はもうあの男、来ないですよね……?」
俺は頭を掻いた。
「いや、それは俺に聞かれても分かんねーけど……」
彼女はモジモジとしながら俯く。
「そうですよね。ごめんなさい。その、なんていうか、警察に言うのも……でも、このままもちょっと怖いというか……」
あーなるほどね。警察呼ぶのはめんどいけど、このままも嫌だから、『呼ばなくてもきっと大丈夫ですよ』って言って欲しいんだろ?
めんどくさい女だな〜。ま、可愛いけど。いいの? 俺、さっさと帰んないと、何するか分かんないよ?
俺は溜息をついて彼女に向き直った。
「おねーさんさぁ……」
「はい……」
「ちょっと危機感なさすぎだと思うよ」
「え?」
彼女が顔を上げる。
あ〜あ、ダメだ、こりゃ。やっぱ心配だ。仕方ねぇ、ちゃんと注意するしかないか。
「こんなこと言うつもりなかったけど、おねーさん、いつもカーテン開けっ放しで、窓際で着替えてるでしょ」