第15章 狼なんかこわくない【トド松/学生松】
堰を切ったように次から次へと溢れてくる涙。必死に抑えようとすればするほど、込み上げてくる。
恥ずかしい。みっともない。生徒の前でなんでこんなに泣いてるんだろう。
「先生、先生、大丈夫? ねぇ、泣かないでよ……」
トド松くんがベッドから降り、私のそばに来た。そっと肩に手を置き、眉を下げ困ったように顔を覗き込んでくる。
「だって……だって……」
しゃくり上げながら喋ろうとすると、トド松くんは私の頭をそっと抱いた。
「はいはい。いいよ、無理して喋らなくても。大丈夫大丈夫。元気出してよ。よしよし」
頭を撫でられ、力が抜ける。トド松くんの胸に顔を埋めて、もたれかかる。甘い香りがふわりと鼻を掠めた。
「ううっ……何よ……年下のくせに……」
私は声を絞り出す。
「あぁ、うん。はいはい。そうだね。年下のくせにね。ごめんね」
「それに……私のことからかってくるし……」
「はいはい。ごめんごめん。でも、からかってないから」
大人の顔をして宥めるトド松くん。何その余裕は。余計腹が立ってくる。
「うう……いつもっ……私ばっかりドキドキして……ずるい……よ……」
「…………」
「散々その気にさせて……もう会わないって……私のこと……捨てるの……? うっ……うう……酷い……」
トド松くんが溜息をついて、私の背中に手を回した。