第15章 狼なんかこわくない【トド松/学生松】
「ねぇ、先生! 何度も言っているでしょ? 好きだって。ボク本気だよ?」
トド松くんが私の手を触り、可愛らしく見上げてくる。
一瞬、ドキッとするものの、すぐにその感情を振り払う。相手は高校生。しかも、生徒だ。たぶん、本気で言っているわけではないし、こちらも相手にしてはいけない。
「はいはい、ありがと。お気持ちだけ貰っておくから、自習室に行こうか?」
「だから! 本気だって! ボクと付き合う気はないの?」
「付き合ったらクビが飛ぶし、社会的に死ぬ」
「ええ〜ボクもう18歳だよ?」
「年齢はね。でも、色々と問題でしょ?」
トド松くんがニヤ〜ッと頬を緩ませた。
「それはえっちしたら問題なんでしょ? ってことは、ボクとえっちする前提なの?」
「は!?」
私が素っ頓狂な声を上げると、トド松くんはまた私の手に触れた。
「やだなぁ、先生。ボクは好きって言ったけど、えっちするとは言ってないよ? さすが大人の女の人はいやらしいなあ。好きって言われただけで、ボクとのえっちを想像しちゃうなんて」
「なっ!? ち、違っ……!」
「いいよ。想像してくれて。なんなら、ボクでオナニーしてくれてもいいよ? あ、メッセでえっちする? それか電話で。先生のID教えてほしいなあ?」
「教えるわけないでしょ!?」
「でも、女子の生徒には教えてるよね?」
「それは授業の質問を受け付けてるだけ」
トド松くんがスマホを出してにっこりと笑った。
「えー、ボクもあるよ? ちゃんと数学の質問。だから教えて。ね、奥田先生?」