第13章 超洗剤クリスマス【逆ハールート】
みんなの顔が苦しそうに歪む。
「愛菜ちゃん! そ、そんなに俺たちのことが好きなら……」
おそ松くんがおぼつかない足取りで近付いて来ようとする。
「だめ! 来ないで!」
私は何とか立ち上がり、また後退った。
「なんで? ぼくたちのこと好きなんでしょ? そばに行きたいよー! 行っちゃだめ?」
十四松くんが切なそうに見る。
「だめ! 絶対に……だめ!」
好きで好きでたまらない。身体が敏感になって愛されたがっているのが分かる。そばになんて来られたら、おかしくなっちゃう。
目の前に餌を置かれ、お預けを食らった犬のように泣きそうな顔でこちらを見る6人。足を押さえて、必死に欲望と戦っているのが分かる。
そんな顔しないで。私が我慢できなくなっちゃう。
「何もしないよ……。ただ、愛菜ちゃんの近くに行きたい……」
チョロ松くんがフラフラと立ち上がった。
「いや! 来たら、別れるから!」
「そんな……」
チョロ松くんが絶望的な顔をする。
どうしよう。ほんの少しだけ残った理性のかけらに今は何とかしがみついているけれど、それも時間の問題な気がする。
熱い。身体が燃えてしまいそうに。我慢できない。
私は着ている白いニットセーターに手をかけた。熱いんだもん。仕方ないよね。上を脱ぐだけなら問題ない……はず……。
堪らずニットを脱ぎ捨てる。
「愛菜ちゃん!?」
6人が一斉に目を見開いた。