第13章 超洗剤クリスマス【逆ハールート】
「みんな、しっかりして! 薬のせいで変になってるんだよ! 目を覚まして!」
叫びながら、私はあることに思い当たった。
あれ? でも、おかしいな……。だとしたら、さっき私も薬を吸ってしまったはずだよね……?
私は慌てて自分の鼻と口を押さえた。
「愛菜ちゃん……どうしたの……?」
一松くんが熱の篭った目で私を見る。
次の瞬間、大きく心臓が脈打った。
「あ……!」
急に足が震える。子宮の奥からじわじわと熱が広がり、全身へと移動していく。激しくなる動悸。目眩と共に失われる平衡感覚。自然と呼吸は上がり、身体が疼き始めた。
「あっ……イヤッ……」
私は後退ろうとしたが、膝が震え、その場に尻餅をついてしまった。
何これ? 何これ……?
熱い……。すごく……。それに……。
「どうしたんだ? チョロ松ガール? 調子が悪いなら、オレが介抱してやろうか」
カラ松くんが歩いてくる。
「だ、だめっ、来ないで!」
私は尻餅をついたまま、後ろへ下がった。
「ん〜? どうしたんだ? そんな顔して……可愛いな……愛菜ちゃん……」
カラ松くんが目の前まで来て、顔を覗き込んだ。
「あ……」
ゾクゾクと興奮が湧き上がる。
近付いたカラ松くんの顔を見つめる。
なんてカッコいいの? 眉が凛々しくて、瞳は優しくて……。私、カラ松くんのこと、とっても……。
「好き……」
思わず呟いてしまい、慌てて口を押さえる。
私、今なんて言った?
カラ松くんが目を見開いた。