第13章 超洗剤クリスマス【逆ハールート】
「は? え? おそ松くん?」
状況が飲み込めず、唖然とすると、腰を掴まれ、後ろに引っ張られた。
「おそ松、愛菜ちゃんに触らないでもらおうか」
カラ松くんがふわりと私に手を回す。
え? え? え?
「どけよ、クソ松……。お前こそ汚れた手で愛菜ちゃんに触るな……」
今度は一松くんに強引に引き寄せられる。
「あっは! ぼくの方が真剣なんだけど! 愛菜ちゃん、こっちに来て!」
十四松くんに足首を掴まれ、引きずられた。
「何言ってるの、十四松兄さん。愛菜ちゃんは、おしゃれで可愛いボクと一緒にいたいって言ってるよ?」
トド松くんがもう片方の足首を掴む。
「ちょっ、ちょっと待って!!」
私は足を掴む手を振り払い、何とか立ち上がった。
床に座った6人がうっとりと私を見上げる。
「みんな、急にどうしちゃったの!?」
全員、目の焦点が合っていない。頬は上気し、耳まで赤く染まり、だらしなく開いた口から舌がはみ出ている。ハァハァと大きく息を吐きながら、興奮したように私を見ていた。
「どうもしてないよ……僕は愛菜ちゃんの彼氏だから触りたいなと思っただけで……」
「うるせぇな、シコ松! 愛菜ちゃんは今日はみんなのもんだろ? お前のじゃねぇよ!」
おそ松くんがチョロ松くんを睨む。
私は気付いた。
そうだ、私が割ってしまったのは惚れ薬の瓶だった。割った瞬間、ピンク色の気体が出て……じゃあ、みんな惚れ薬を吸っちゃったの!?