第13章 超洗剤クリスマス【逆ハールート】
「ん……どうしたの……」
気付いた一松くんが覗き込んでくる。
「うん。これ、何の薬かなあと思って」
瓶を見せると、他の5人も集まってきた。
「あー! 瓶の後ろ側にメモが貼ってあるよ!」
十四松くんの言葉に私は瓶からメモを剥がし、声に出して読んでみる。
「ええっと、『ご注文品 超強力惚れ薬』って書いてある」
途端に6人が黙り込んだ。
「え? あれ? みんなどうしたの?」
おそ松くんが物憂げに溜息をつく。
「惚れ薬って、父さん以外にも注文するやついるんだな……」
他の5人も何とも言えない顔をしながら頷いた。
「まあ、どちらにしろ、体が戻る薬ではないからな。返しておこう。前に散々な目に遭って懲りたしな」
カラ松くんが私から薬を受け取り、棚の中にしまう。
あれ? あの薬、棚じゃなくてテーブルの上に置いてあったような……? まあ、どっちでもいいか。
その時、インターホンが鳴り響いた。
「ダジョー! お邪魔しますジョー」
聞き覚えのある可愛らしい声。
「あれ? ハタ坊、一体どうしたの? クリスマスイブなのに今年は暇なの?」
チョロ松くんに尋ねられ、研究所に入ってきたハタ坊くんはニコニコと笑った。
「暇じゃないジョー。世界中の美女たちと一緒に今から豪華客船で世界一周に行くんだジョー。あ、愛菜ちゃんも行くかジョー? 可愛い愛菜ちゃんなら、大歓迎だジョー」
豪華客船で世界一周? すごく素敵! チョロ松くんたちと過ごすよりこっちの方がいいかも。