第12章 超洗剤クリスマス【チョロ松ルート】
チョロ松くんがゴソゴソとポケットを探り、私の右手を握った。
何をしてるんだろうと目をやり、私は声を上げた。
「チョロ松くん、これ……! どうしたの!?」
いつの間にか右手の薬指に付けられていたのは、可愛らしい指輪。
金色の上品な細身のアームに中央には小ぶりのダイヤの石、サイドに小さなピンクダイヤが添えられている。
「そんなに高いものじゃないけど……」
チョロ松くんが恥ずかしそうに微笑む。
「え、だって……これダイヤでしょ!? いいの!?」
「実は内緒でバイトしたんだ。またいつかもっとちゃんとした大きな石のを買うから、それまで左手は空けておいて」
優しく私の頭を撫でる。
「チョロ松くん……ありがとう……すごく嬉しい……」
チョロ松くんがバイトをする。それが彼にとって、どれだけ大変なことかよく分かっている。私のために……。目頭が熱くなった。
「気に入ってくれた?」
「うん、とっても! 大切にするね!」
「よかったぁ。バイト頑張った甲斐があったよ」
目尻を下げてニコニコと優しく笑う。チョロ松くんのその笑顔を見てるだけで気持ちが暖かくなる。
「そろそろ行く……? 雪も強くなってきたし……」
白い息を吐きながら言うと、チョロ松くんも頷いた。
「実は、赤塚ホテルのレストラン予約してあるんだ」
「ええっ!? あそこ高級ホテルだよね!?」
「今日は特別な日だからね。大丈夫だよ。あと……その……泊まるかどうか分からなかったけど、一応、部屋も取ってあるんだ……普通の部屋なんだけど。あ、でも、夜景のきれいな部屋をお願いしておいたから」
「チョロ松くん……」
チョロ松くんが私に手を差し出す。
「行こう?」
私はチョロ松くんの手を握った。