第12章 超洗剤クリスマス【チョロ松ルート】
「とりあえず公園に入ろっか」
チョロ松くんに促され、私たちは赤塚公園の中に進んだ。
「わぁ、きれい……」
すぐにイルミネーションが目に飛びこんでくる。
花壇一面に広がる色とりどりのライトの絨毯。木々にも飾りや様々なLEDランプがつけられ、空間一体が幻想的な光とともに浮かび上がる。思わず溜息が漏れた。
周りを見ると、自分たちと同じように恋人たちが寄り添ったり、抱き合いながら、イルミネーションを楽しんでいた。
「愛菜ちゃん、座ろっか……」
「うん」
近くにあったベンチに座る。
チョロ松くんは、改まったように私の方を向いた。
「じゃあ……お願いできるかな……?」
私は頷くと、チョロ松くんから体を離し、姿勢を正して座り直した。
理想の恋人薬を1滴飲む。
『恋人の理想の姿を想像しながらキスをすれば、その通りになる』だったよね……。
よし、理想のチョロ松くんをちゃんと想像しなくちゃ。理想のチョロ松くん、理想のチョロ松くん、理想の……。
私はそっとチョロ松くんに顔を近づける。どこが口か分からない。
たぶんここらへんかな?
『シコ』の『コ』の真ん中辺りにキスをした――。
……数分後、私は頭を抱えていた。
目の前の男性はめちゃくちゃカッコいいけれど……。
明らかにいつものチョロ松くんじゃない……。