第12章 超洗剤クリスマス【チョロ松ルート】
クリスマスにこうやって一緒に歩けるの嬉しいな……。
チョロ松くんの手を強く握ると、彼もまたぎゅっと強く握り返してくる。
「ふふっ!」
私たちは顔を見合わせ、同時に笑った。
「ねぇ、愛菜ちゃん。さっきはどうして僕のこと分かったの? みんな同じ格好してたのに」
チョロ松くんに言われ、どうしてだろうと私も考える。
勘と言ってしまえばそれまでだけど……。
「どうして選べたのかは自分でも分からないけど、抱きついた時は『絶対に間違っていないな』って思ったよ」
「なんで?」
「抱き締めた時にね、すっごく優しい匂いがしたの。チョロ松くんの匂いだから、すぐ分かった」
「匂い……」
「うん! 私、チョロ松くんの匂い大好きなんだぁ。すごく落ち着く」
チョロ松くんの腕にしがみついて、顔を押し付け、くんくんと匂いを嗅ぐ。
うん、これこれ。ふわっと香る大好きな匂い。
「え、そ、そうなんだ。そ、そっかあ……僕も愛菜ちゃんの匂い大好きだけど……」
チョロ松くんが恥ずかしそうに小さい声で言う。
「ほんと? ありがと」
「うん、今晩一緒にいられるなら、愛菜ちゃんの匂いに包まれて寝たいなあ……って、あ、変な意味じゃないからねっ!」
「ふふふ」
話しながら歩いていると、気づけば私たちは赤塚公園まで来ていた。思っていたよりも駅から遠くはなかったみたいだ。
早速、中に入ろうとした時、私は公園から出てきた人とぶつかってしまった。
「あっ、すみません……」
慌てて頭を下げる。
「ホエホエ〜こちらこそダス!」
聞き覚えのある男性の声が返ってきた。