第12章 超洗剤クリスマス【チョロ松ルート】
私はある一人を指差した。
「じゃ、選んだ彼氏を抱き締めて下さ〜い。自分で選んだんだから、当然できるよね!?」
声が飛んできて、私は仕方なく自分が選んだ『チョロ松くん』に近づいた。
手を伸ばし、思い切って抱きつく。
柔らかく温かい感触。それにとっても優しい穏やかな香り。私の大好きなチョロ松くんの匂い。
うん。間違っていないはず!
確信に満ちて、さらに腕に力を込めた瞬間、『チョロ松くん』が私をぎゅっと抱き締め返してきた。
「ちゃんと僕を選んでくれるなんて、もう幸せすぎてケツ毛飛んでいきそう! はぁああーーーーん! 愛菜ちゃーん! 超絶可愛いよぉー! もぉ、普通に好きぃーーーー!」
よかった……!
チョロ松くんだった!!
「ちぇっ、なんだよー! つまんねーの!」
「全くトゥーバッドな選択だったぜ……」
「死ね……」
「コロース」
「あ〜あ、帰ろ帰ろ。帰ったら、チョロ松兄さん抜きで、クリスマスパーティーだね。架空のチーズフォンデュを、架空のテラスハウスで、架空に楽しもうよ」
チョロ松くんA〜Eは、思い思いに文句を言いながら帰っていった。
残された私たちは、改めてお互いを見る。
「愛菜ちゃん……じゃあ、行こうか?」
「うん!」
私とチョロ松くんは手を繋いで歩き始めた。
駅前の道は、どの店も華やかなクリスマスの飾り付けがされていて、店の中を外から覗くだけでもウキウキとした気分になる。
ケーキショップでは、店前でサンタのコスプレをした店員がホールケーキを売っていたし、洋品店のウィンドウ・ディスプレイでは暖かそうな可愛い服を着たマネキンが雪の中で嬉しそうにプレゼントを抱えていた。