第11章 超洗剤クリスマス【分岐あり・チョロ松&逆ハー】
「ええっ!? 僕、顔に『シコ』て書いてあるんだよ!? いつもと違うでしょ!?」
「え? いつも書いてあったよね?」
「書いてないよ! 顔に『シコ』なんて書いてある人間、普通に考えておかしいだろ!? ってか、愛菜ちゃんまで僕のことそんな風に思ってたの!?」
チョロ松くんは、その場で頭を抱えた。
「ねぇ、どうしたの? 早く行こうよ、シコ松くん!」
私はシコ松くんの腕を引っ張った。
「いや、だから! 名前『シコ松』になっちゃってんじゃん! そんな風に呼んだこと、今まで一度もなかったよね!? セリフだけじゃなくて、地の文まで『シコ松』になってるし!」
シコ松くんが私の腕を振り払う。
「地の文……?」
シコ松くんの言っている意味が分からず、私は途方に暮れた。
「あ、いや、その話はめんどくさくなるからいいけど……えっと、とりあえず僕は『チョロ松』! 思い出して! あのね、愛菜ちゃん。今日、僕は体にペイントしてるんだよ」
「ペイント……? なんで……?」
「あ〜うん、そうだよね、なんでって思うよね? 至極もっともな疑問だと思うよ!」
シコ……チョロ松くんはそう言うと、体にペイントをしている理由を話し始めた。
デカパン博士の作った洗剤をお酒と間違えて飲んだところ、体が透明になってしまい、兄弟たちにペイントしてもらったらしい。
「ふーん……あっ! じゃあ、透明の姿見せてよ!」
私が提案すると、チョロ松くんは全力で首を振った。