第11章 超洗剤クリスマス【分岐あり・チョロ松&逆ハー】
「もしかして、雪降るのかなあ……」
私は、白い息を吐きながら寒空を見上げた。
どんよりとした曇り空。
街はイルミネーションであふれ、楽しいクリスマスソングが流れている。日曜日とクリスマスイブが重なったということもあり、駅前を行き交う人はいつもより多いように思えた。
午後6時の赤塚駅前。
すっかり辺りは暗くなっている。
私は大きなクリスマスツリーの前で彼氏の到着を待っていた。
「愛菜ちゃん!」
声がして振り向くと、目の前には彼氏が立っていた。
会えた嬉しさで自然に笑みがこぼれてしまう。私はすぐに彼に駆け寄った。
「チョロ松くん! 遅かったね! 早く行こう!」
大好きなチョロ松くんの腕に自分の腕を絡める。
そう、今日は待ちに待ったクリスマスデートの日。
私たちは夜の街へと歩き出した――。
「……って、いや、ちょっと待って! おかしいでしょ!」
チョロ松くんが突然叫んだ。
「どうしたの? チョロ松くん?」
私は驚いてチョロ松くんを見上げた。
「いやいやいやいや! なんか普通にカップルが歩き出した、みたいに小説始まっちゃったけど、明らかにおかしいよね!? 愛菜ちゃん、僕をよく見てよ!」
「??」
「いや、何でそんな顔するの! 僕を見て何とも思わないの!? 僕、いつもと違うよね!?」
私は、じっとチョロ松くんを見つめた。
真っ白い体。顔に大きく書かれた『シコ』という文字。
「いつものチョロ松くんだと思うけど……?」
何がおかしいのかよく分からない。