第10章 お持ち帰りの長い夜【一松】
「あっ、えっと、違っ……そうじゃなくて……!」
額から大量に汗が流れ落ちる。
バカか、おれは! 素直に言いすぎた……! これじゃ、ただのエロいやつだろ! いや、実際にエロいやつだけど! ムードもへったくれもない。終わったぁあああ!
愛菜ちゃんは目を丸くしていたが、メニューを横に置き、くすっと笑った。
「いいよ……」
おれは呆然と彼女を見つめた。
え……? 今なんて言った……?
「その……私なんかのでよかったら……」
照れくさそうにうつむく。
え? え……? ええっ……!? えええええ!?
いいの? 見せてくれるの? なんで? おれみたいなゴミクズに乳見せてもなんの得にもならないのに?
あれか? ボランティア精神ってやつ? 『1日1回、困っている人を助けましょう』みたいな、そういうやつか!?
「ほ、ほんとに……いいの……?」
愛菜ちゃんは真っ赤になってうなずく。
いいのか。いいんだな。あとでだめだったとか言わないよね……?
おれは彼女のバスローブの胸元に恐る恐る指をかけた。
手が震える……。
「じゃ、じゃあ、ほ、ほんとに、み、見るけど……」
愛菜ちゃんがこくんとうなずいた。
おれみたいなクズに見せるとか、後悔しても知らないからな……。
深呼吸をすると、バスローブの襟元に引っ掛けた指をゆっくりと引き下げた。