第10章 お持ち帰りの長い夜【一松】
残されたおれは一人静かに悶絶する。
やっぱり女神か!? 女神なのか!? マジなんなんだよ、この可愛さ! 逆に死ねぇっ! あ、いや、死んじゃだめぇ!
……というか、いいコだよな。こんなおれにもすごく気を遣ってくれるし。本当に猫が好きみたいだし。
おまけに見た目もエロくて、可愛くて……。だめだ、このままじゃ好きになりそう……。でも、好きになんてなったら、フラレて傷つくのは目に見えている。地獄まっしぐら。
バスルームから聞こえてくるシャワーの音に聞き耳を立てる。
くそ……ムラムラしてくる……。しかたない……。落ち着こう……。
彼女が出てくるまでのあいだ、おれはひたすら壁に頭を打ち続けることにした。
隣の部屋の人たち、びびってんだろうな。ずっと壁からゴンゴンと音がするなんて、セックスどころじゃないだろう……。ヒヒッ……俺たちの隣に入ったのが運のツキ。ご愁傷様……。
見知らぬ隣のカップルに想いを馳せながら頭を打ちつけていると、愛菜ちゃんが出てきた。
「ちょっ!? 一松くん!? 何やってるの!? 大丈夫!?」
慌てて駆け寄ってくる。
その姿を見ておれは思わず息を呑んだ。
風呂上がりで火照った顔は赤く染まり、白いバスローブからはすべすべとした肌が覗いている。
エロい……。ヤリたい……。
「一松くんも入ってきたら?」
「え……う、うん……」
おれは逃げるようにバスルームに入った。