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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第10章 お持ち帰りの長い夜【一松】


「あの、一松くん?」

「なに……?」
どんよりとした目でこちらを見上げる一松くん。

「えっと、その……」

何これ? なんて言えばいいの?

『私としましょう』? いやいやいや、直球すぎる。

『抱いて』? いや、これじゃ、ただの欲求不満な痴女でしょ。

どっちにしろ、私から言えるはずがない。

合コンの席で一松くんと猫の話をして、すごく楽しかった。不器用そうだけど、いい人だなって思ったし、本当に猫が好きなのも伝わってきた。ミーコのこともお世辞じゃなくて、心から可愛いって言ってくれているのがわかった。

だから、ちょっといいかなと思ったんだけどな……。

でももしかして、盛り上がった雰囲気を壊さないように渋々付き合ってくれただけ?

あれ? あれれ? これって、もしかして帰ったほうがいいやつ!?

「あんた、帰りたいの……?」

「えっ!?」

考えていたことをそのまま一松くんに言い当てられ、思わず素っ頓狂な声が出る。

「あ、えっと――」

「いいよ、帰ろっか……」

そう言うと、一松くんは立ち上がり、テーブルの上の財布を取った。料金表も取り、金額を確認する。

「あ、お金っ! 私も払うからっ!」

慌てて鞄から財布を出そうとすると、止められた。

「いいよ。おれ、払うから……」

「でも……」

本当に何もせずに帰るの? 据え膳食わぬはなんとかって言うけど、私、そんなに魅力ないのかな。かなりショックなんだけど……。


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