第9章 かんじて♡サマー仮面【カラ松】
一瞬で身体中の血が沸騰する。
愛菜ちゃんの形の良いおなか。その奥にある温かく柔らかい子宮がオレを求めている。
自然と息が荒くなる。
そんなのオレだって……オレだって、愛菜ちゃんのおなかの中を全部オレで満たしたい。真っ白な精子を溢れるくらい注いでやりたい……。カッコつけてても頭の中じゃ、本当はそんなことばかり考えてるんだ。
「愛菜ちゃん……」
オレは愛菜ちゃんの両肩を掴んだ。真っ赤な顔で見上げる愛菜ちゃん。汗ばんだおでこ、潤んだ瞳、日焼けで赤くなった耳、ぷっくりと膨らんだ唇、透き通るような白い肌。
――今だ、キスしろ、オレ。
思いとは裏腹に、体は鉛でできたかのように動かなかった。
なあ、カラ松よ。愛菜ちゃんに片想いしてから何年経った? 愛菜ちゃんを思い浮かべて、何回一人で抜いた? いつまでも実らない想いに何回不安になった?
ずっと焦がれていた女性が、今、期待に満ちた目でオレを見つめている。オレは、今日一日ずっと愛菜ちゃんと二人きりになって、エロいことをすることばかり考えていた。
でも、本当にそれでいいのか? ちゃんと応えられるのか? 頭の中でぐるぐると回る。
「あ、ごめん……」
情けない言葉が口を衝いて出る。オレは愛菜ちゃんから手を離して、後退った。
肝心な時にオレはいつもこうなんだ。ヘタレなんかじゃあない。慎重なんだ。大事にしたいんだ。汚したくないんだ。
……いや、もっともらしい理由つけても、結局はただのヘタレ、か……。