第9章 かんじて♡サマー仮面【カラ松】
続いて現れるチョロ松。
「そうそう。ビーチ近辺のラブホも、家に帰る途中にあるラブホも、トト子ちゃんが全部ぶっ潰したからね」
「はぁっ!? トト子ちゃんが!?」
声を上げると、トド松がスマホ片手にニコニコとオレの肩を叩いた。
「トト子ちゃんに『ビーチで散々イチャイチャしたカップルは、帰りにラブホに寄って、さらにイチャイチャするんだろうなぁ』って言ってみたんだ〜。そしたら、面白いことになって。ねっ? 一松兄さん?」
「さすがおれたちのトト子ちゃん……ご丁寧にもロケットランチャーと爆弾引っさげて、全部潰して回ってくれたよ……ラブホ全滅、ご愁傷様……ヒヒヒッ……」
音もなく現れた一松が不気味に笑う。
くっ! 先手を打たれたか……。エイトシャットアウツ! 愛菜ちゃんの家もダメ、ラブホもダメとなったら、どうすればいいんだ?
「カラ松く〜ん、どうしたのー?」
オレが来ないことに気付いて愛菜ちゃんが戻ってくる。
ブラザーたちは素早く姿を消した。
「あ、いや、何でもないんだ、ハニー」
「ねぇ、カラ松くん。向こうの岩場に行ってみない?」
岩場か……。確かに人は来ないが、ブラザーたちにはすぐ見つかりそうだ。
「こうなったら目には目を、歯には歯を、か……」
「カラ松くん、何をブツブツ言ってるの?」
ハニーが不思議そうに見上げる。
「いや、何でもない。岩場に行ってみようか」
オレは愛菜ちゃんの愛らしい手を取り、歩き出した。