第9章 かんじて♡サマー仮面【カラ松】
《愛菜side》
ビーチの外れにある岩場は、人も見当たらず静かだった。波も比較的穏やかで狭い砂浜があり、周りは高い岩に囲まれて小さな湾のようになっている。
岩の陰に入れば、空気はひんやりとしていて、夏の陽射しで火照った体を適度に冷ましてくれた。
「わあ……ここなら人の目も気にならないし、いい場所だね! カラ松くん!」
返事が聞こえなかったので振り返ってみると、誰もいない。
「あ、あれ……?」
慌てて周りを見渡してみるが、サマー仮面の姿はどこにもなかった。
え、もしかしてもう流刑に!? いくら何でも早すぎじゃない!? もう少し一緒にいられると思ったのに……。
「あ〜あ……」
私は日陰になった平らな岩に腰を下ろした。
せっかくカラ松くんと付き合うことになったのに……もっと一緒に過ごしたいし、色々話したいのにな……。
岩に当たっては静かに引いていく波をぼんやりと見つめる。
「なんか……淋しいな……」
私は周りを見回し、誰もいないことを確認すると、岩の陰に身を寄せ、そっと自分の胸に手をやった。
石段の途中でサマー仮面と抱き合っている時、お腹に当たっていた熱くて硬いもの……。思い出すと胸がきゅんと疼く。