第8章 おねがい♡サマー仮面【カラ松】
付いて来ないでよ。優しくされたくない。
私はカラ松くんの手を振りほどくと、砂浜に続く石段を一気に駆け下りた。
砂の付いたサンダルがずるりと滑り、足を踏み外す。
「あっ……」
しまったと思う間もなく、体はバランスを崩し、視界がぐるりと反転した。
落ちる――。
瞬間、後ろから強く腰を引っ張られる。気づくと私はカラ松くんにそのまま抱きすくめられていた。
「よかった……」
耳のすぐ後ろからホッとしたような声。
「カラ松くん、離してよ……」
私はカラ松くんの腕から抜け出そうともがいた。後ろから回された腕にさらに力が入る。
「ハニー、急にどうしたんだ……」
優しく甘い声が耳をくすぐった。
「どうもしてないよ……帰ろうと思っただけ……」
「オレとお揃いがそんなに嫌か?」
「…………」
カラ松くんが私の肩を掴み、無理矢理振り向かせる。私はサマー仮面と向かい合った。
「オレはハニーとお揃いのものが欲しいんだがな……」
言いながら、サマー仮面は私の背中に手を回し、優しく抱き寄せる。
サマー仮面の厚い胸板に私の胸が押し付けられた。汗と海水で濡れた体。直接触れ合う肌からはサマー仮面の心臓の鼓動が伝わってくる。