第8章 おねがい♡サマー仮面【カラ松】
キラキラと光る色とりどりのガラス細工。私は導かれるように並べられた商品を覗き込んだ。
海の生き物を模した透き通った置物、可愛い森の動物を精巧に再現した小物、涼しげな花模様が浮かぶブローチやネックレス、実用的な小皿やコップ……。
真夏の太陽の下でガラス細工たちは様々な色の光を反射し、見る角度を変えるたびに万華鏡のようにくるくると表情を変えた。
私はそっと手を伸ばし、一番端にあった小さな円筒形のグラスを手に取った。光に透かしてみると、散りばめられた青い花びら模様が浮かび上がる。
「きれい……」
思わず呟くと、店主のおばさんが「ああ、そのグラス、いいでしょう?」と笑った。
「買って帰ろうかな……」
グラスを色々な角度から眺めてみる。光を受けて煌めくそのグラスは、これからの夏にぴったりな気がした。
「ハニー! どうしたんだ?」
声をかけられ振り向くと、サマー仮面が心配そうに立っている。
「あ、ごめん。ちょっと見たくなっちゃって……」
「なんだ? そのグラスが欲しいのか?」
サマー仮面が私の手元を覗き込む。
「うん、きれいだなと思って……」