第1章 1
「恵梨ー、しっかり布団被ったかー」
「・・・はーい」
さっきは恵梨が羊を数えたさかい、今度は俺の番。
・・・まぁ、恵梨の羊は結局5匹しか柵を飛び越えられんかったけどな。
俺はケータイを持ち変えて、恵梨に話しかける。
恵梨の寝る準備が整ったようやな。
「行くでー。
・・・羊が1匹。
・・・羊が2匹。
・・・羊が3匹。
・・・羊が4匹。
「・・・羊が5匹。
・・・羊が6匹」」
途中から声が重なった。
「恵梨、お前は数えんでええんやぞ」
「んー、何かka-yuさんと一緒に数えたくなったんです」
ふふ、と笑って恵梨が呟く。
俺はその言葉に一瞬戸惑ったが、フッと笑うと、また羊を数え始めた。
恵梨の声が、先程と同じように重なる。
「「・・・羊が7匹。
・・・羊が8匹。
・・・羊が9匹。
・・・羊が10匹・・・・・・」」