第1章 1
「数えたいんか、恵梨?しゃあないなー」
「ふふふ、じゃあいきますよー。
・・・羊が1匹、めぇ~。
・・・羊が2匹、めぇ~。
・・・羊が3匹、めぇ~」
「ちょ・・・ちょい待ち。恵梨・・・・・・今、何て言ったん?」
楽しそうに羊を数える恵梨を遮って、俺は思わず訊いてしまった。
「へ?何がですか?別に・・・普通に、羊を数えただけですよ?」
怪訝そうな口調で恵梨が答える。
俺は首を傾げながら、
「や、普通・・・・ではないと思うんやけど」
「どこが普通じゃないんですか?」
「恵梨、も一回羊を数えてくれん?」
「良いですよ?
・・・羊が1匹、めぇ~。
・・・羊が2匹、めぇ~」
「それや」
「はい?」
また俺が遮ると、恵梨は不思議そうに言った。
どう考えても、おかしいことが一つ。