• テキストサイズ

1から100まで

第1章 1




6回目のコールで、そのケータイの持ち主は電話に出た。

「・・・・・・もしもし?」

何となく寝惚けたような、くぐもった声。

(・・・やっぱ寝とったんかな・・・)

「恵梨?俺やけど」

取り敢えず名乗ってみる。
名前は言ってないけどな。

「こんな時間に・・・どうかしたんですか、ka-yuさん」

眠そうに訊いてから、名前を言ってないのに俺が誰なのか言い当てた恵梨。
俺は、んー、と言いながら頭を掻いた。

「明日もお仕事あるんですよね?確か・・・シングルの初回特典の打ち合わせが・・・」

「・・・よく覚えとったやん。ビックリしたんやけど」

「まぁ・・・マネージャーですから、一応」

満足そうに、否、当たり前というように恵梨が答える。

「で、どうしたんですか?」

「いや・・・別に大したことやないんやけど・・・・・・」

「はい、何でしょう」

「・・・・・・眠れへんのや」

「・・・・・・眠れへんのですか」

恵梨が関西弁で返してきた。
俺は無言で小さく頷く。
電話の向こう、恵梨は黙りこんだ。
そして。



/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp